こんにちは。サイちゃんです。
今日は美大生時代の話を。
2年生の時、必修科目で「写真」の授業があったんです。
別に「写真の歴史」とか
「土門拳」とか「アラーキー」「篠山紀信」氏たちの
講義を受けるわけではなくて、実技の方ですね。
1年を通して「写真を撮る」授業です。しかもモノクロ!
白黒写真!!です。一眼レフカメラで。
なんか2年生のときは、写真の授業しか印象にないナ。。。(苦笑
そんだけ記憶に残ってます。
いまでこそデジカメ、いやスマホで写真を撮ったらすぐにセピア調にしたり、
グラフィック処理をかけたりなんか朝飯前で、
それはそれで面白しですし写真を楽しむ裾野が拡がってますが、
当時はフイルムを使った銀塩写真しかなかったんですね。
現像するまで写ってるか、ちゃんとピントが合ってるかもわからん!世界です。
それはそれでドキドキしながら撮ったり、現像してたりするわけで、
今とは別の面白さがあるわけです。
しかも授業では、できる限りマニュアルカメラで撮れ!っと。
オートフォーカスじゃダメだゾ。って教えられました。
(が、ボクはしれっとオートフォーカス機能を使ってました。スイマセン!)
白黒写真は自分自身でフイルムを現像、
そして印画紙に焼き付けまでの工程が可能だったんです。
コストもやたら高額ってわけではなかったです。
いわゆる暗室という真っ暗な部屋に入って、
赤いランプ(は現像作業をするときに影響をほぼ与えません)を
頼りにまずはフイルムの現像から始めます。
それをベタ焼き(contact print)といって
例えば36枚分のネガフイルムだったら、
1コマ(横36×縦24ミリ)の画面を36個密着させて
六切(横203×縦254ミリ)の印画紙にプリントします。何を写したか一目瞭然。
まあインデックス代わりですね。
そこからベストなコマを選び出し、
そのフイルムのコマを引き延ばし機を使って
拡大しながら、覆い焼きと言って、
あの視力検査で使う細い棒に黒丸的な物体が
ついてるようなものを揺らして数秒光を通すなどなど、
細かい技術を駆使して、
自分の理想的な濃度、絵(写真)作りをしていくんです。
そこが写真作りの醍醐味のひとつでありますネ。
ですが、それも現像液につける秒数などで
濃度も変わっていくので細心の注意を
払って。デス。そのように何段階も経てやっと理想の写真ができる。
もしくは近いイメージの写真ができる。というものです。
手間がかかりますよね~~~。
またその現像液がいわゆる「お酢」のキツイ匂い。って感じなんです。
これがまたたまらん~~~~!ってヤツです。
いまでもお酢の匂いをかぐと、大学2年を思い出す(笑
まあ、ここまでが技法の部類の話です。
⇂⇂⇂⇂自分でフイルム現像〜プリントまで。ぜひ挑戦してみよう!
それで主題は「何を撮るか」です。
当時、先輩たちから写真の授業は
「苦行」だ(笑)と伝えられていました。
なぜ?
なぜ〜〜?
美大に楽しい授業を受けに来たつもりのに!
ク、苦行って…….
…………..か。
それは、「人物」を撮るからです。
えっ、カンタンじゃん!って思うでしょ?
カンタンではありません。
「見知らぬ人」を撮るという課題なんです。
考えてみてください。
ビンボーったらしい(笑)服装をした若者(美大生)に
「スイマセン~。写真を撮らせてください!」って
いきなり言われたら100パーセント怪しみますよね?
まず、心を開いてくれません。
は~~~っ?知るかよ~~~。
あっち行けよ。ってな感じです。
「いま、写真の勉強をしていて課題なんです。」って言ったって
通常人にしたら、「なんのこっちゃ?」ですよ。
新宿駅の○口で、手○を見せてもらえますか。って人種と同じです(笑
しかも、当時は○崎勤の事件が起こった時代で、
子供に声をかけようなものなら、即逃げられました~~~~。
凹みましたよ~~~。
しかも、「視線をもらえ」という指令もでていました。
「視線をもらう」ということは、
カメラの方に顔をちゃんと向けて、
レンズを見てもらった写真を撮れって事です。
これは、かなり信頼関係が成り立たないともらえません。
そのためにはある程度、コミュニケーション力が必要なんです。
ボクはいまでこそ初対面の人でも営業的には普通に接することできますが、
どちらかというと人見知りする性格。
まさに「苦行!!!」
ストレス以外の何物でもなかったですね。
たしか100人の人物を撮れ。
って課題が夏休みにあったように記憶してますよ。
「ボク、写真を撮るために美大に入ったんじゃないんだけどな===」って
「でも、必修科目だからこなさないと留年してしまうんだ!!やならきゃ。」
と自分を強引に正当化して、精神を保っていたように思います。
友人たちとも愚痴ってばかりましたね(苦笑
ただ、得たものも確かにありました。
写真の実技過程で、写真って「撮る、そして現像する」という作業も面白いんですが、
その撮影するモノ、人との関係を築き上げるまでの工程が
かなり重要なんだな。って実感したんです。
でないとリラックスした良い表情の写真なんか撮れる訳ないですよね。
如実に画面に表われます。
動物、自然を撮る写真も、そしてスポーツ、報道写真だって
大きい枠組みの中では同様です。
その理想とするシーンがくるまで待たないといけないですし、
その待つ時間こそ大切なのでは。
そしてモチーフと向き合う心構えができていくのはと思ってしまうんですネ~~。
その精神性って、現代のデジカメになっても変わらない根幹ですよね。
銀塩写真のもつ現像されるまで
ちゃんと写っているかどうかの緊張感はないかもしれないですが、
対象と向き合う真摯さ、緊張感はもちろん欠かせません。そして親和性もね。
上の2年次の授業で、写真の面白さを感じた輩は3年、4年、卒業制作まで
写真を続けていったりするんですネ。いま、かなり有名な写真家も
同級生にいます。スゴイですよね!リスペクト!!
たまには!ってことで写真の話と思い出を書いてみました〜。
追伸:デッサン、イラスト描きに効く!本のレビュー頁を作成しました。ココ。今後もどんどん加えていきますネ。
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ではでは、今日はこの辺で。